社会科学部 (日本語)
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6 社会科学部は、社会科学・人文科学・自然科学の「総合」を教育理念としています。現実社会の複雑で錯綜した諸課題が、総合的なものの見方とソリューションを要請しているからです。社会科学総合分野は「総合・学際的な科目」を旗印に、福祉、健康と人権、ジェンダー、セクシュアリティ、地域研究、環境、移民、ディーセント・ワーク、小集団、組織イノベーション、組織行動、地域市民社会、社会学、社会調査、多国籍企業、商業史、経済社会思想史、社会科学方法論、文化人類学、心理学、バイオエシックス、公共政策など、テーマ・課題を柱としています。まず総合分野の「入門」や「基礎」の科目から履修をし、自分が格闘すべきテーマ・課題を見つけ、どんな科目がその課題の解決に役立つのかを考えて履修していきます。 政治現象は、地方・国家・国家間・地域・地球規模などさまざまなレベルで展開されます。これを比較・モデル・統計・法政策・歴史・哲学などの手法と視野から分析するのが政治学です。「政治学入門」や「政治分析の基礎」はその概要と思考様式の基礎を紹介し、「政治学原論」はそれらをより専門的に扱います。また、「国際関係論入門」は、紛争・暴力や共同・統合の問題について学ぶための基礎を提供します。さらに、政治的意思決定の形成を分析する「政治過程論」や「立法過程論」、法政策の運用に注目する「行政学」、各国統治制度を比較の視点も交えて講ずる「現代政治制度論」などの専門諸科目があります。 法学は、法律や判例等を通じて制度化されている社会規範である法について学ぶ学問分野です。社会科学部の学生として社会科学を学ぶにあたって、制度の何たるかについての理解は不可欠です。法学の入門科目として「法学入門」が用意されています。また、ミニマムディシプリン科目として位置づけられている、「憲法Ⅰ」、「民法1〔総則〕」、「刑法総論Ⅰ〔犯罪論の基本構造〕」、「行政法1〔行政法概論〕」、「会社法1〔会社のガバナンス〕」を受講すれば、法学の基本的な考え方を身につけることができます。このほか、「環境法」、「国際法」、「労働市場法」、「労使関係法」等、法学以外の分野との関連性が強い科目は、コース科目として履修することができます。また、「医事法」等の専門・学際科目では、より高度な学際的研究に触れることもできるでしょう。 モノやお金の取引は人類が長い歴史の中で培ってきた規則にしたがっています。その規則は誰かが設計したものではなく、言語における文法のように出来上がったものです。不便だから、不合理だからといって文法の一部を変更すると言語そのものが混乱してしまうのと同じように経済の仕組みを人為的に変化させると社会は機能しなくなることもしばしばです。経済の営みの背後にある人々の深い結びつきを探求するのがミクロ経済学とゲーム理論です。具体的な統計データを使って経済全体の動きを分析するのがマクロ経済学です。これらをもとに経済の仕組みの中で何が基本で何を変えてはいけないのかを明らかにするのが経済学です。貧困、暴力など、さまざまな問題が山積していますが、何かを変えると、また別の問題が発生します。複数の理想が同時に達成できないことを示す不可能性定理も、たくさん存在しています。どうしても何かを変えたいなら事前のテストも必要です。そのために最近では実験経済学が発展しています。理想を語るのではなく何ができて何ができないかを冷静に見極める視点を養うことが大切です。 企業の経営資源に「人」「物・サービス」「資金」「情報」があります。商学分野の科目を履修することで、これら経営資源を有効に活用し、高い生産性と企業価値の向上を達成するためのマネジメントについて理論的・実証的に学んでいくことができます。商学分野では「経営学入門」、「マーケティング入門」、「会計学入門」を設置しています。経営について、より専門的には「経営学」で学ぶことができます。また、現代企業に必須とされる科学的方法論のスキルは「経営科学」によって得られます。商学は金融・証券・保険・貿易など、さまざまな場面における取引がその対象領域とされていますが、社会科学部では経営に関わる広範な学問領域を学ぶことができます。 情報科学分野の科目は、主として1、2年生を対象とした科目と高学年を対象とした科目があります。前者は社会科学諸分野に共通するコンピュータアプリケーションソフトウェアの扱い方やインターネットの活用法を学びながら、社会科学に関わるデータの収集、処理、加工、蓄積、表現の基本的方法を、実習を通して学んでいく科目です。後者は、社会科学それぞれの分野固有の問題を情報科学的立場からシステムとして複合的に解析すること、問題解決を目指した情報システムのデザイン、テキスト・画像・音声を総合的に融合し、表現するマルチメディアデータの処理を学んでいく科目があります。 学問は大きく人文・社会・自然科学に分けられます。社会科学の多くが近代とともに発展したのとは対照的に、人文科学や自然科学の歴史は古く、中には文明の始まりにまでさかのぼる分野もあります。また、社会科学が主に人間を集団として考察するのに対し、哲学、文学、心理学のように個人の内面へと向かう視点もあります。人文・自然科学は、社会科学の礎となった学問領域であり、社会科学とは少し違った視点から社会や人間を研究します。哲学、文学、歴史学のほかに、漢字文化圏の研究、言語学、文化やコミュニケーションに関する研究、写真や映像を使った社会デザインに関する研究、都市計画やまちづくり、環境科学、生物学的な人間研究、生物の世界と環境のかかわりを分析する生態学など、みなさんの知的好奇心をかき立てる講義が多数用意されています。これらは、大学生としての幅広い教養を涵養し、新しいアイデアやユニークな着眼点を生む知識の源になります。2025年度社会科学部科目一覧は「学部入学案内」をご確認ください社会科学総合分野政治学分野法学分野経済学分野商学分野情報科学分野人文科学分野自然科学分野

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