臨床堀 芳枝 教授上智大学大学院、国際関係論専攻単位取得退学。博士(国際関係論)。恵泉女学園大学、獨協大学を経て2020年4月より現職。11Waseda University School of Social SciencesPRACTICALPICK UP 1PICK UP 2 平和の反対の単語は何でしょうか。みなさんは「戦争」と思うかもしれません。しかし、平和学では「暴力」です。国際社会の様々な暴力や抑圧の構造を明らかにし、その問題について考え、行動する学問が平和学です。今日私たちが直面している問題は、国家間の戦争や感染症、移民難民問題など国境をまたいだ問題であり、一国だけでは解決不可能です。そのため、国際機関やNGOを巻き込んだグローバル・ガバナンスの必要性が高まっています。 このゼミには紛争、難民、児童労働、貧困格差やジェンダーといった多様な問題意識を持った学生たちが集まっています。3年生は、ゼミの他に週2回、十大学合同セミナーに参加しています。昨年の夏休みにはゼミ合宿も行いました。今年はコロナの行動制限が解除されてきたので、広島でフィールドワークをする予定です。 このゼミを通して、国際社会や日常の様々な暴力に気づき、解決のために社会科学の見地から国際協力の分野で活躍するだけでなく、社会人としても日常から平和を創造する人になってもらいたいと思います。 雇われて働く際のルールである「労働法」は、社長や「人事担当者」がその内容を熟知し、人事制度をそのルールに則って運用することで初めて有効に機能します。そこで、人事制度の専門家である「社会保険労務士」が、社長や人事担当者のサポートを行うことが少なくありません。また、労働者からの相談に乗ったり、企業が労働法を遵守できているかを監視する公務員として「労働基準監督官」などがいます。このように、労働法はさまざまなプロが適切に連携しあうことによって、はじめて実効的なルールとして存立しうるのです。 ゼミでは、このような実務に積極的にアプローチします。例えば、企業の人事担当者や社会保険労務士などをお招きして、職務内容を詳しく学習するとともに、それぞれのプロが抱える問題点やその解決策をみんなで議論します。また、SNSを活用し、企業や人事担当者などに知って欲しい労働法の知識を発信する活動なども行っています。 大学で学ぶことは、教科書や文献から得られる知識だけではありません。『生きた社会科学』を身につけるためには、知識だけではなく実社会の現場に赴くこと、様々な問題に直面する人々やその活動を目の当たりにすること、客観的ではない事実を知ることなどから得られる学びも必要です。現場で当事者と一緒に問題解決に向けて考え、行動することで実践的な能力を養うことができます。 社会科学部では、地域社会の抱える問題をテーマとする授業から、国際社会を巻き込むテーマを扱う授業まで、規模の大小に関係なく、個人による文献ベースの学習の限界を超えて、グループによる考察・調査や、グループ間での相互検討を通して学びを拡げます。アクティブラーニング型授業現実社会への実践的なアプローチ鈴木 俊晴 教授東京大学文学部卒業、早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。■城大学人文社会科学部准教授を経て、2019年4月より現職。平和学研究ゼミナール雇用社会の法ゼミナール
元のページ ../index.html#12