未来の学生への博士後期課程に進んだきっかけは何ですか?今取り組んでいる研究内容と、その面白さを教えてください。学生生活の学びの中で、一番印象に残っている経験を教えてください。学部4年の時の、最終的な公式を得るまでに、数列についての関係式を複数個用いて式を変形していった経験です。ある日急に、この関係式を使えばできるかも、という見通しが立ち、予想通り、非常にシンプルな式になったのですが、この時の「もしかして」という、ゾクゾクと興奮した感覚は忘れられません。嬉しすぎて共同研究者に非常に早口で説明してしまったのを覚えています。博士前期課程時点で研究を続けたい思いが残っていたからです。ただ、最初は経済的な面、将来性を考えたときに迷いがあったので、博士前期課程1年の1月頃は就職活動を行っていました。指導教官が何度も面談を行って下さったり、両親が「悔いのないようにしなさい」と背中を押してくれたり、周囲の方々の支えで最終的に進学する決意をかためることができました。ざっくり言うと、コンピューターネットワーク等、ネットワークがどのくらい複雑なものなのかを理論的に解析する研究を行っています。例えば、コンピューターネットワークにおいて、ある端末から目的の端末までパケットを届けるためにかかる時間の指標を求めており、それらを、フィボナッチ数列等の数列を用いて公式として得ています。Σ(シグマ)を使わずに数列を用いて書くことができる美しさとシンプルさに心が惹かれます。研究というと大それたことに聞こえるかもしれませんが、研究を通して、「これはどうなるんだろう?」という好奇心に対する答えを是非探してみてください。メッセージ基幹理工学研究科数学応用数理専攻博士後期課程2年田中 優帆さん(兵庫県立豊岡高校/山形大学地域教育文化学部 地域教育文化学科卒業 東北大学大学院情報科学研究科 情報基礎科学専攻修了)アーリーバードプログラム理工学術院総合研究所が実施する、若手研究者育成・支援を目的とする事業。2011年に始まって以来、毎年15名程度、これまでにのべ202名が採択されています。採択者には研究助成金が交付され、自身の研究活動や、アーリーバードの活動を通じて生まれた、異分野の研究者との融合領域研究にも役立てることができます。W-SPRING2021年、本学は、科学技術振興機構(JST)が実施する「次世代研究者挑戦的研究プログラム」の支援を受け、博士後期課程学生のキャリアパス確立と経済的支援を目的とした「早稲田オープン・イノベーション・エコシステム挑戦的研究プログラム(W-SPRING)」の運用を開始しました。制度運用開始以来、理工学術院の5研究科に所属する博士学生239名が本プログラムに採択され支援を受けています。 約7割が大学院修士課程に進学しています。そんな知への飽くなき探求心を持った3名が、現在、理工3学部からはそして修士課程を修了した後も、さらに研究を究めようと博士後期課程に進む学生たちがいます。博士後期課程の魅力について語ります。J-22―博士後期課程で、未知の扉を開く―知のプロになる
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