法学部 (日本語)
7/24

法律を学ぶプロセスが自分らしいキャリア形成を描く 高校で法律のお話をすると︑条文を暗記するのが法学部と思っている高校生は多いです︒しかし︑実際は違います︒法律を学ぶ過程で︑社会で求められる様々な能力やスキルが底上げされます︒  例えば︑条文を解釈するにしても︑判例を読み解くにしても︑なぜその条文の意味を明らかにする必要があるのか︑その判例の事案では何が争点となったのかを分析し︑問題や課題を明らかにしないと議論は進みません︒ここで鍛えられるのが問題発見力です︒また︑私の専門とする民事訴訟法ひとつ取ってみても︑対立する当事者の利益や負担︑訴訟手続にかかる時間や費用︑裁判所の労力など︑色々な立場や視点で問題に対する解決策を考えます︒その結果︑おのずから行間を読む力やバランス感覚が養われます︒ゼミでは判例をベースにプレゼンテーションを行った後︑学生同士で意見を交わすこともあれば︑私が学生との議論に加わることもあります︒ゼミでの議論の時間は︑感情論に左右されない論理的な思考はもちろん︑自分の考えを言語化し︑相手にわかりやすく伝える力を飛躍的に向上させます︒学生のプレゼンテーションや議論を聞いていると︑1つの判例で︑こうも見ている世界が違うのかと︑驚きと発見の連続ですし︑学生の考えから私も学ぶことが多いです︒  私は研究者を志してから︑マンションの管理組合や地域の消防団などの﹁権利能力なき社団﹂に紛争が生じた場合︑その権利能力なき社団は︑その紛争に関する民事訴訟の当事者となることができるかどうか︑という﹁権利能力なき社団の当事者適格﹂をテーマに研究してきました︒民法や会社法など〝法的思考〞 という武器を社会を動かす〝勘所〞を磨き上げます配りたい �Tetsuya Watanabe法学学術院教授。実務家であった父親の影響を受けて法律の世界に入る。専門は租税法で、同大学で唯一租税をテーマにしたゼミを担当。司法試験考査委員や公認会計士試験委員を歴任。内閣府の税制調査会など多くの政府の会議にも専門家委員として参加。著書に『スタンダード法人税法 第3版』(弘文堂)など 教授渡辺 徹也

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る