早稲田大学教育学部長社会科地理歴史専修教授■本 健二 …… HASHIMOTO Kenjiprofile:1999年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了。博士(学術)。財団法人流通経済研究所研究員、松商学園短期大学講師、大阪学院大学助教授等を歴任し、2004年より早稲田大学教育学部助教授、2008年より教育・総合科学学術院教授。2018年より早稲田大学大学院教育学研究科長、2022年より早稲田大学教育・総合科学学術院長ならびに教育学部長を務める。専門は人文地理学、商業・流通地理学。教育学部長メッセージ 早稲田大学教育学部は、学内随一の学生数を擁するとともに、他の多くの大学の教育学部とは異なり、教員免許状の取得を卒業要件としていません。また、教育学の研究・教育を目的とする旧帝国大学を中心とする教育学部とも異なります。本学部は、「教育」をさまざまな角度から研究する教育学科、文系・理系それぞれの専門分野の研究や教科教育に対応する国語国文学科・英語英文学科・社会科・理学科・数学科、さらに人間社会の多様な文化を多元的に学ぶ複合文化学科という7つの学科から構成されており、さながら小さな総合大学の趣きをもちます。 地球規模での気候変動や環境破壊に対する持続可能性の訴求、国際秩序の揺らぎと新たな体制の模索、国境を越える人間・モノ・情報の移動が生み出す新たな可能性と課題、パンデミックを契機とする労働のあり方や対人関係の変容、個々人の生への遺伝子工学や情報技術の介入など、現代社会はさまざまな変化と課題に直面しています。こうした課題に取り組むことのできる、幅広い教養と高い学識、豊かな感受性を兼ね備えた人間を必要とするのがこれからの社会です。教員養成という目的から、多様な専門分野の講座を揃えている本学部は、自分の専門性を深めると同時に、分野横断的な知と気軽に出会える広場でもあります。疑問に思ったこと、興味をもったことに応えてくれる誰かが身近にいる、そうした環境です。この「知の広場」での学びは、真実の追究への道筋を歩み、現代社会を生き抜くたくましい知性としなやかな感性を培う上で大いに役立つことでしょう。 本学部の卒業生は、教員はもちろんのこと、一般企業・マスメディア・官公庁・研究機関など、さまざまな職域で活躍しています。「人間を育て、過去からの遺産を伝承し、新たなものを創造し、よりよい社会を実現する」──それらを広い意味での「教育」と捉え、社会の各分野でリーダーたりうる力をはぐくむことが本学部の特徴といえます。早稲田大学教育学部での、人との、あるいは新たな学問との出会いが、皆さん一人ひとりの知的好奇心や創造性を刺激し、これからの人生の選択肢を広げてくれることは間違いありません。1「知の広場」で現代社会を生きる知性と感性を培う
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