これまで南米アマゾンや北極海、赤道近辺の持続可能な社会へ。実現への鍵は「文化」にある「グローバル社会-共生ゼミ5(自然・社会・サステナビリティ)A、B」演習紹介取り組んでいる研究テーマ7ミクロネシア連邦のヤップ島で30年以上にわたり、青少年対象の環境教育プログラムを実施しています。自給自足の伝統的な暮らしを保持してきたヤップ島も近年は開発が急速に進み、海陸の環境保全が喫緊の課題です。社会環境的な現状調査と並行して、島の人々が持つ知恵や技術を持続可能な社会づくりに活かす方法を探っています。ゼミ合宿で畜産の現状と課題について学ぶ専門は持続可能な開発、環境・野外教育など。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院政治学研究科修士課程修了、ケン ブリッジ大学M.Phil、エジンバラ大学Ph.D。早稲田大学留学センター教授を経て、2017年度〜2021年度早稲田大学文化構想学部教授。2023年より現職。新潟県南魚沼市に暮らし、担当する演習科目では同市でのフィールドワークも実施。ヤップ島における気候変動の影響調査持続可能な社会とはどのようなもので、それには何が必要か、一人ひとりに何ができるのかを考えるゼミです。グループや個人での研究を通して身につけてほしいのは、知識そのものよりも、自分で考えるための材料を集める術です。フィールドでの体験や、意見の異なる他者との議論から、社会に出ても大切な「学び合う」姿勢を培ってほしいと考えています。教授島々など、手つかずの自然が広がる地球上の各地を訪れ、そこに暮らす人々と出会ってきました。そして気づいたのは、それぞれの地域に、人々が自然と関わる中で生まれた知恵や技術が受け継がれているということです。こうした伝統知にこそ、持続可能な社会へのヒントがないだろうか。その思いから、自然や異文化の中での学びの場をつくる活動に取り組みながら、教育実践を通した地域・社会づくりを研究しています。 研究では文献調査に加えて、物事が起きている現場に身を置き、観察や聞き取りからデータを得ることが重要になります。また高校までの教科とは違い、問いに正解はありません。観察力や想像力を土台に、多角的にものを見る目を養い、自分なりの答えを考え抜くことを学生には期待します。 持続可能な社会を構築するには、人間社会の根幹にある文化、つまり「人々が何を大切にするか」という価値観への理解や働きかけが不可欠です。環境問題に対し、技術や法制度で改善を図ることも方法の一つですが、人々が進んで環境保全のために行動する文化を育むことは、より持続的で根本的な解決策となるはずです。文化構想学部・文学部で、人類の共通課題であるサステナビリティを「文化」の観点から考えてみませんか。髙野 孝子TAKANO Takako文文化化構構想想学学部部
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