文化構想学部・文学部(日本語)
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人文学とは である。当たり前問い直す学問間とは何か」という大きな問いを解き明かすために、異なる時代や地域に生きた・生きる人々が何を考え、どう行動してきたのかを探り、理解を深めていくのが人文学という学問です。その学びは、いま自分が生きている世界を違った角度から捉え、自らの固定観念や価値観を相対化していく、あるいは覆していく道のりでもあります。例を一つ挙げてみましょう。文化人類学の基本的なテーマに「親族関係」があります。皆さんは親戚と聞くと、血のつながった人々の関係を思い浮かべ、その意味は世界共通だと考えるのではないでしょうか。しかし実際には、日本語で言う「親戚」にぴたりと当てはまる概念が存在しない人間の集団は世界にいくつもあります。ラオス語で「親戚」に最も近い「ピーノーン」は、とても親しい間柄全般を意味し、血縁関係に限定されるものではありません。世界に約5000ある言語は、背景にそれぞれ固有の文化が存在します。たとえ訳語があったとしても、文化が異なれば単語や概念の理解は一致しない可能性があるのです。暗黙の前提を問い直し、狭い世界で形づくられてきた自身の固定観念を打ち破ることは、人生の可能性を大きく広げます。人文学の学びを通して培った力は、異なる考えや価値観を持つ人たちとともに、社会を築いていく足場にもなるはずです。「人  「」を 3ラオスの少数民族の収穫祭にてラオハイという酒を飲む人文学を学ぶ上で早稲田大学の魅力は?タイプの異なる多種多様な人がいる早稲田は、価値観を相対化させる学びの場として最適です。学部での学び以外にも、ボランティアプロジェクトやスタディツアーなど、フィールドで経験を積む機会も豊富にあります。アンテナを広く張り、気になった課外活動やイベントに積極的に参加してみることをお勧めします。注力している研究テーマは何ですか?これまでラオスのコーヒー産地をフィールドにフェアトレードなどの研究をしてきました。現在は、人と自然環境の相互関係を捉え直すことを大きなテーマに研究を進めています。長い歴史の中で人間が自然環境とどう関係を築きながら生活を成り立たせてきたのかを振り返り、持続可能なあり方を探りたいと考えています。専門は文化人類学、環境人類学。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院文学研究科修士課程修了、同博士後期課程修了。博士(文学)。東洋大学社会学部助教、専任講師、准教授、早稲田大学文学学術院准教授を経て、2021年より現職。学生時代はバックパッカーとして世界各地を旅して回った。ゼミのフィールドツアー。阿蘇にて自然と人間の関係を学ぶ教授箕曲 在弘文化構想学部INTER VIEW

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