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比較という手法を用いて、HINO AIRO42政治現象の因果関係や傾向を明らかにしようというのが比較政治学の分野です。私はその中でも選挙を研究しています。選挙にはいろいろな種類があり、種類が違えば、候補者や有権者の態度・行動も異なってきます。知事や市長など 1人が当選する選挙では、候補者はより多くの有権者に支持される政策を打ち出して得票率50%以上を狙うことが選挙戦術の基本になります。これに対し、例えば議員定数が50人の世田谷区議会議員選挙では、得票率2%で当選できる計算となり、候補者は特定のイシューに焦点を絞った戦術をとることができます。こうした選挙の種類の違いや、あるいは国ごとの選挙制度の違いによって、選挙に関わる個人や組織の振る舞いはどのように変わり、相互にどう影響するのかを、世論調査などのデータを用いて実証的に分析しています。近年、選挙活動を巡る混乱がニュースになるなど、これからの選挙がどうなっていくのかに関心を持つ人も多いことでしょう。重要なのは「あるべき選挙の姿とは」に立ち返り考えることです。理念に照らして今の実態を整理し、より良い制度のあり方を議論する上で必要なエビデンスを提示することも、選挙研究の役割だと捉えています。選挙は政治との最も身近な接点です。自分たちの重要な決定について解明していく面白さも味わえるでしょう。早稲田大学政治経済学部は、現代社会で今必要とされている政治と経済の両分野が融合した最先端の研究が、実際に行われている現場でもあります。関心や問題意識に応じた専門性を高めながら、好奇心を耕すことを大切にしてください。自分の関心事をライフワークとして追い続けることは、人生を豊かにすることにも繋がります。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程修了、同博士課程単位取得。英国エセックス大学政治学部でPh.D.(政治学)取得。首都大学東京(現東京都立大学)准教授、早稲田大学政治経済学部准教授を経て、2014年より現職。専門は選挙研究、比較政治学。日野 愛郎政治経済学部 教授MESSAGE FROM PROFESSOR政治との身近な接点である選挙をデータを用いて実証的に分析する

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