持続可能な社会の実現に向けたインターセクショナリティの視点から物事を考えていく問題を理解しその要因を明らかにして解決の道筋を探るWAS MEEDATHOD平和構築や紛争解決、中でも沖縄に関する研究を進めています。研究を通じ、個人が世界的課題の相互関連性を認識し、これらの問題が孤立した存在ではないことを理解することが非常に重要だと感じています。キンバリー・クレンショー博士が考案した「インターセクショナリティ」という概念により、組織的抑圧の重なり合う形態を特定し、世界に存在する多くの不正義に具体的に対処する、より繊細な解決策を開発することができるでしょう。本当の平和構築を実現するために、沖縄県民の声を組み入れることが必要だと強く信じています。私の研究テーマは「EUによる移民管理の第三国への域外化」です。これは人道的な観点から批判、検討されることも多く、他国へ移動せざるをえなかった人までもが不平等を被るということを示しています。研究を通じて分かったのは、表面的には問題がないようでも、実は不平等の構造が反映されているということ。問題を十分に理解し、その背景にある要因を明らかにした上で、不平等をなくす解決への道筋を探ることが重要だと考えます。藥師寺 奈々YAKUSHIJI NANA政治学研究科 政治学専攻政治学コース 修士課程 1年リ ルイテンLI, RUITENG基幹理工学研究科 表現工学専攻 博士課程 2年キーブニー ブリジットKEAVENEY, BRIDGET国際コミュニケーション研究科 修士課程 1年池原 広紀IKEHARA HIROKI商学研究科 商学専攻 修士課程 1年堀 日香梨HORI HIKARI文学研究科 人文科学専攻 社会学コース 修士課程 1年開発目標の一つである「人や国の不平等をなくす」こと。背景には、世界の多くの国でかつてないほど格差が広がっている現状があります。また身近なところにも「機会の不平等」や、差別・偏見は存在します。こうした 問題に対処し、人や国の平等を実現するために何ができるのか。早稲田大学では、法や仕組みの整備、教育、テクノロジーの活用など、多様なアプローチでの研究が進んでいます。31中国にルーツのある移民の若者を対象に、アイデンティティの在り方や、中国や日本における知人たちとの結びつきについて調査しています。中でも幼少期に来日した1.5世代の人々の声に耳を傾けることで、新たな課題が見つかるのではないかと研究中です。彼らがどのような現実を生きているのかについて知り、なぜ日本にやってきているのか、受け入れるべきか否かについて向き合うことは、彼らへの差別や偏見の目をなくすことに繫がるかもしれません。応用マクロ経済学の分野での研究や、学部・研究科での学びを通じて感じたことは、人々は思っている以上に合理的に行動しているということです。「不平等をなくすと、社会全体の幸福度が高まる」という情報が広まれば、人々は合理的な意思決定の結果、不平等をなくす方へと進んでいくと考えられます。もちろん経済学だけで解決策は導き出せないため、全ての人々が意見をぶつけ合い、互いに理解し合うことが必要なのではないでしょうか。聴覚に障がいのある人が公共空間で明瞭な音声を聞けるようにする「聴覚誘導ループシステム」の研究に取り組んでいて、これにより聴覚に障がいのある人々が教育や仕事、社会活動に積極的に参加しやすくなるのではと考えています。不平等をなくすには、新しいバリアフリー技術導入の政策的サポートと社会全体の理解を深めることが大切です。今後は政策立案にかかわる人々との連携を強化し、広く導入できる仕組み作りを目指していきます。バリアフリー技術の導入と社会全体の理解を深めることが必要移民1.5世代の人々の声を聞くことで新たな課題を見つける情報を与えることで、不平等をなくす方向へと進む可能性がある
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