入学案内(日本語)
148/232

運動生理学を専門とする私HAYASHI NAOYUKI146たちの研究室では、運動によって身体はどのように変化し、またそれがどのようなメカニズムで起こるのかを研究しています。身体の変化というと筋肉や関節、骨などがまず思い浮かぶでしょう。ほかにも内臓や血管、神経、脳など、運動は身体のいろいろな器官に影響を与えます。なかでも私が注目してきたのが血流との関係です。これまでの研究で、運動中に眼底の血流量が増えることや、網膜の前と後ろではその変化が異なることを明らかにしました。眼底の血流量は視力の維持に関わります。運動による変化をさらに詳しく解明することで、眼の機能維持や疾患予防のヒントを得られる可能性があります。このように運動生理学の知見は健康の維持・増進に役立てられるほか、運動パフォーマンスの向上にも応用されています。運動という刺激を身体に与えてその反応を見ることで、ブラックボックスである身体の内部を解き明かしていく目的も運動生理学にはあります。演習では、疲労困憊するまで運動したときの呼吸や心拍などの変化を自分の身体を使って測定します。これまで漠然と捉えてきた疲労感を、数値化して理解することに繋がります。自分の身体の状態を可視化したり、身体のサインに気づいたりしやすくなるという点でも、学びの面白さを感じられるのではないでしょうか。スポーツ科学の専門性や幅広い教養を活かして、世界の平和や人類の幸福の実現に貢献する人材を育てることを、スポーツ科学部は理念に掲げています。自身の興味関心に沿って文理の垣根を越えて広く深く学びながら、スポーツ科学を土台に、社会をより良くするために何ができるかを追い求められる。それが本学部の大きな魅力だと思います。早稲田大学人間科学部卒業。同大学大学院人間科学研究科修士課程修了、同博士課程中退。博士(医学)。大阪大学助手、九州大学助教授・准教授、東京工業大学教授を経て、2021年より現職。専門は運動生理学。林 直亨スポーツ科学部 教授MESSAGE FROM PROFESSOR運動により生じる変化に着目しいまだ謎の多い人体の仕組みに迫る

元のページ  ../index.html#148

このブックを見る