二つ目の「しなやかな感性」は、自分とは異なる考え方や感じ方を理解し、尊重できる力です。早稲田大学はそうした感性を育む環境をつくるために国際化を進めてきました。留学生の受け入れ・送り出しとも規模は国内屈指で、将来的には学部生全員に中長期の留学を経験してもらいたいと考えています。留学のための奨学金の拡充など、サポート制度もさらに充実させていく計画です。そして三つ目の「ひびきあう理性」とは、他者の考えや意見に耳を傾け、互いに熟議し高め合う力を指します。早稲田大学での学びや体験を通して磨かれるこれらの知性、感性、理性は、将来グローバルリーダーとして活躍する礎となり、また人生を切り拓いていく支えともなるはずです。互いを認め合い、誰にでも居場所があるだから自分に限界を定めず挑戦できる世の中に貢献したい、人の役に立ちたいという思いを胸に温めながらも、自分がそれをどう実現できるのかがまだ見えない人もいることでしょう。焦る必要はありません。みなさんそれぞれの「貢献の仕方」が、早稲田大学ならきっと見つかります。その理由として、早稲田大学には実践型ワークショップや平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)のプログラムなど、体験を通して学べる場が豊富にあります。例えばWAVOCが支援する学内サークルに、宮城県気仙沼市で震災復興支援を続けているボランティアサークルがあります。先日初めて参加した学生によると、気仙沼に着いてすぐに地元の方々から「おかえり」「ありがとう」と声を掛けられたそうです。歴代の参加学生たちが築いてきた地元の方々との関係が伝わるエピソードです。こうした体験や出会いを通し、人のために貢献するとはどういうことか、自分にはどんな強みがあるのか、理解を深められるでしょう。もう一つ、早稲田大学ならやりたいことが見つかると私が明言できるのは、早稲田には誰にでも居場所があるからです。個性もバックグラウンドも多様な学生たちが、互いに敬意を持って交流を深め、対等な立場で学び合っています。だからこそ自分の心が動くままに気兼ねなく、学問研究やスポーツ、文化活動などに打ち込むことができます。自身の限界を定めることなく大いに学び、挑戦を重ね、やりがいを感じるものを見つけ出してほしいと思います。無限の可能性の中から自らが歩んでいく道を、早稲田大学でぜひ見つけてください。6早稲田大学 総長 田中 愛治 Tanaka Aiji早稲田大学第17代総長。1975年早稲田大学政治経済学部卒業、85年米国・オハイオ州立大学大学院博士課程修了、政治学博士(Ph.D.)。東洋英和女学院大学助教授、青山学院大学教授、本学政治経済学術院教授などを経て現職。2006年から本学の教務部長、理事、および世界政治学会(IPSA)会長などを歴任。現在は日本私立大学連盟会長を兼務。
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