入学案内(日本語)
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TOPIC O2TOPIC O130近年、何かとグローバルということが強調されますが、法律学は基本的にドメスティックな研究分野であり、その中心にある民法にしても刑法にしても、日本の法律を中心に学びます。一方で、早稲田の法学部では語学や教養科目の他に、外国法をはじめとした多様な科目が展開されています。外国法というと、日本が明治時代に影響を受けたフランス法やドイツ法に加えて、英米法やEU法など、発達した欧米の法治国家が日本の法学者にとっての準拠モデルとなってきましたが、早稲田のように規模の大きな法学部では、一般に欧米法治国家の圏外にあり、準拠モデルとはならない国々に関する科目もあります。私が専門とするロシアも非準拠国に属していますが、その法体系や法システムを先進的なモデルや見習うべき模範として研究しているわけではありません。世界中でロシアに対する感情が悪化する状況で、実務的な目的よりも、国家体制と法制度の仕組みなどを実直に分析し、異文化理解を促進することが、ロシア法研究の目的になるのではないかと考えています。異文化理解の一環としての外国法教育現在の日露学術交流の難しさ文献や議事録など、各種資料が研究活動の中心になります。かつてはロシアを訪れて資料を収集したり、モスクワ大学にいる日本法の研究者たちと交流を深め、モスクワでシンポジウムやカンファレンスを開催したりしたこともありました。残念ながら現在はそういうことができる状況にありませんので、文献や議事録などの各種資料を通じた実態の解明が研究活動の中心となります。ロシア法研究にとって申し分のない研究環境もともと早稲田にはロシア文学研究の伝統があり、所蔵するロシア語文献の数は日本有数です。また、法学学術院に設置されている比較法研究所でも、最近の定期刊行物を含むロシア語の法学文献を数多く取り寄せています。さらに、ロシアについて研究されている方は他学部、他研究科にも多く、ハード面に限らず、人材面や研究交流面でも、他では見出し難い研究環境が整っています。ロシア法を通してロシアという国をより深く理解する

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