TOPIC O2TOPIC O128組織の中にいる人たちの感情や思考、行動といった個人特性は、複雑に絡み合って組織全体の人間関係やパフォーマンスに影響を及ぼします。また一方で、個々人の考えや行動とは別に、集団や組織レベルで特定の価値観や行動パターンが形成されることもあります。私は組織で起こるこうした人間行動に着目しながら、どうすればチームはうまくいくのか、そのためにはどのようなリーダーシップ行動が必要なのかを科学的に探究しています。チームワークに関する興味深いデータの一つに、「スーパースターを■えても勝てるわけではない」というものがあります。サッカーやバスケットボールでは、メンバーの3分の2以上をスター選手が占めると、チームの勝率が下がることが分かっています。ビジネスにおいても同様に、単に個人能力が高い人を集めれば優れたチームになるわけではなく、メンバー間の連携の仕組みが重要な■を握ります。社会活動の根幹でありながら、■が多い「人と働くこと」について、その複雑なメカニズムを解き明かすことに挑んでいます。スター選手を揃えても勝てない?不思議に満ちた「チーム」を探究企業との共同研究や情報発信にも注力「社内のオープンコミュニケーションの促進」をテーマに企業と取り組んでいる研究では、社内のチャットデータを提供いただき、チーム間や部署間のコミュニケーションの状況や、仕事の成果への影響を分析しています。組織行動の研究ではこのように、企業などから協力を得ることが不可欠です。そのため講演活動などを通して研究内容をより広く知ってもらうことにも努めています。他者との連携は研究活動でも重要に異なる経験知や専門性を持つメンバーが集まることで、知識に幅と深みが出て、新しい発想が生まれやすくなる。そこにチームワークの真価はあります。これは研究活動にも通じ、教員同士や研究室間の連携が活発に行われていることは早稲田の強みだと感じます。アクティブに研究活動を展開する教員が多く■う環境は、学生にとっても刺激的で、挑戦を重ねる後押しになるはずです。組織内の人の行動を理解しチームワークの仕組みに迫る
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