理入 事象をデータから読み解く力や論理的思考力を社会で活かしたい研究をとおして時間をかけ粘り強く考える力が備わった大学院155ABE NANAMI先進理工学研究科 物理学及応用物理学専攻 修士課程 1年2023年 先進理工学部 応用物理学科卒業東京都・桜蔭高校出身学当初から大学院への進学は意識していましたが、自分の中で進学する意志が固まったのは、4年次に現在の安田賢二研究室に所属してからです。研究に携わるようになってからその楽しさに気づき、やるからには引き続き2年間同じテーマの研究を続け、成果を出したいと考えるようになりました。研究室のテーマは、心臓を形成している心筋細胞の機能の解明です。私はその中の、心筋細胞に対して外部刺激を与えた際の挙動を観察し、そこから拍動状態の安定性がどんなところから生まれてくるのかというメカニズムの解明を目指しています。学部生の時には研究に必要な基礎的な知識や技術を系文系の枠にとらわれず視野を広げたいと、領域を横断して学べる人間科学部に入学しました。多様な分野の中で、地球を一つのシステムと捉え、気候などの環境変動と生物や人間の活動との関係を知る地球生態学の視点に興味を持ち、3年次のゼミも「地球環境システム論」を選択。現在まで一貫して、気候変化による蚊の活動予測を研究しています。蚊は代表的な感染症媒介生物で、個体数の増減や分布は感染症の拡大にも関係してきます。そこで気候データから蚊の個体数や分布を予測するモデルをもとに気候変化の影響を探ってきました。幼生期の蚊は水中に生息するため、降水パターンに着目学ぶことが中心でしたが、大学院に進学してからはそれらを使い自分で計画を立て、主体的に進められるようになりました。また優秀な先輩方とともに研究をするなかで、答えがないものに対して時間をかけて粘り強く考える力も身につきました。研究の魅力は、疑問や興味を持ったことを徹底的に追究し、それを一つずつ明らかにするところだと思います。修士課程修了後は就職を考えており、医療や教育といった分野で現在の研究内容を活かせる場がないか、研究職も視野に入れて検討しているところです。残りの学生生活はより一層研究に力を入れて、やり残しがないように力を尽くしたいと思っています。してシミュレーションした結果、降水頻度が高く見積もられたシナリオ下では個体数が減少するということが分かりました。大学院では気候の将来予測データを活用して、約100年後の蚊の活動予測を試みています。人間科学部には3年卒業制度があり、5年間で修士課程まで修了可能なことも大学院進学の後押しになりました。大学院ではより主体的な姿勢、仮説と検証を繰り返してものごとを考える論理的思考力、膨大なデータを処理する能力が養えていると思います。修了後はそうした能力と環境変動の影響をデータから見ていく知識を活かし、企業に環境変動対策などをアドバイスできるコンサルタントを目指しています。MARUYAMA MIKU人間科学研究科 地域・地球環境科学研究領域 修士課程 1年2023年 人間科学部人間環境科学科3年次卒業長野県・長野清泉女学院高校出身MESSAGE FROM STUDENT安陪 七海丸山 みく
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