92【社会科学部】 選挙・世論ゼミ紹介2本の論文を目標に文章で説得する力を養う「選挙・世論研究」というゼミですが、できるだけ自分の興味のあることに取り組んでほしいので、テーマは選挙や世論でなくても構いません。ただ実証分析、特に計量分析を用いる ことは必須です。卒論1本だけのゼミもありますが、社会科学部学生論文集と卒論の2本を目標にし、自分の研究テーマについて3年生は学生論文集、4年生は卒論にまとめることを 目指します。基本的には学生の自主性に任せていますが、次の段階でするべきこと、考えるべきことなどの指導をします。議論を整理し、仮説を検証し、結論を出す。それを文章にすることは、自分の思考を整理して、人に説得力を持って示すことのトレーニングにもなりますし、なによりも、「自分の手で分析をした」という実感を味わってほしいと思います。政治学というと政治家や官僚などテレビのニュースに出てくる人たちを対象とするイメージがありますが、そうした人たちも有権者が何を考えているかを念頭にさまざまな政策を作っているという点で、私たちのような有権者も政治学にとって非常に重要な研究対象です。私は有権者、つまり「選挙で選ぶ側」に着目して、どういった人が選挙に行くのか、あるいは行かないのか、どの政党や候補者に投票するのか、それはどういった要因で決まるのかといったことを、世論調査データの分析から研究しています。有権者の多くは、必ずしも政治の知識が豊富にあるわけではありません。それでも選挙では一票を託さなければならない。そのような制約の中で、人々の行動が政党や国会にどのように反映されているのか、政府をどのようにコントロールできるのかについて考えています。社会科学部は、政治学、経済学、法学、社会学、経営学など、幅広い科目を学べると同時に、専攻分野については一からしっかり学ぶことができます。高校生のうちは、どの分野に興味があるかわからないこともあると思いますが、社会科学部なら自分の関心がどこにあるかを入学後に発見できますし、自分の問題意識が変わった場合にも軌道修正できる良さもあると思います。平和学やコミュニティデザインなどフィールドワークを重視する分野では、実際に現地に赴く授業もあり、現場の課題を学術的に考えることで、臨床的な思考を鍛えることができます。知的好奇心や探求心を大切にして、いろいろなことに取り組んでもらいたいと思っています。ゼミナールⅠ~Ⅲ(選挙・世論研究)From Professor世論調査データから有権者と政治の関係を分析するMessage
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