84【商学部】 財務報告の研究I・II企業の内部では日々、モノを売る・買う、給料を支払うといった、さまざまな取引やお金の流れが生じています。そうした企業の経済活動を金額という数値にしてまとめたものが「会計」です。企業外部に公表される会計情報を分析することで、経営状況や収益性、成長性などを読み解くことができ、その企業に投資すべきか、取引をしても安全か、などを判断することができます。また、会計情報は企業内部で経営のためにも使われます。会計の数値は、定められたルールに従って算出され、監査を経て外部に公表されるため、データとして高い信頼性があります。一方で、「会計数値は絶対的なものではない」という認識も必要です。例えば利益の数値は計算方法によって変わりますし、ルールの範囲内で企業が利益の調整を行う場合もあります。企業が発表する数値情報を表面的に読むのではなく、その奥にある深層も理解できる分析力をつけてほしいと考えています。会計は「ビジネスの共通言語」として、あらゆる分野と関わっています。例えば経営やマーケティングの戦略を考える時、会計数値である売上や利益の分析は欠かせません。企業だけではなく、国や地方公共団体、非営利組織など、どのような場でも、会計は必ず使われます。会計の知識やスキルを持つことで将来の活躍の場を大きく広げられるでしょう。ビジネス全般や社会の動きを総合的に体系立てて学べるのが早稲田の商学部の特長です。私も多種多様な人が集まる早稲田で学生時代を過ごし、 異なる価値観に出会った経験は今でも財産です。個性豊かな人が多く、 それぞれが、その人らしくいられるのが早稲田の良さだと思います。From Professorゼミ紹介財務報告の研究Ⅰ・Ⅱ身につけた会計の知識やスキルはビジネスの共通言語として強みに得た知識を用いて企業の経営活動を分析3年生前期は文献の輪読を中心に進め、後期からは、企業が外部に発信する情報の一つである財務諸表をもとに企業の姿を読み解くグループワークに取り組みます。その際には、会計数値を見るだけではなく、その企業の経営戦略や過去と現在の比較、業界全体の動向、さらに大きな経済の動きも視野に入れ、それらのつながりを意識しながら分析することをアドバイスしています。他大学や学内の他ゼミと交流するインターゼミの機会もあり、例えばある業界の中でどの企業に投資するべきかなどを、財務分析や経営分析をしながらグループで討論します。社会に出てからも大切となる、自ら考え、行動し、個人やチームでの成果につなげていく主体的な姿勢を、ゼミ活動を通して培ってほしいと思っています。Message
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