入学案内 (日本語)
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68【法学部】 主専攻学演習(刑事法)E日本では、社会における種々の「犯罪」に対し、刑罰や再犯防止の取り組みなどさまざまな手段で対応が図られています。国や地方公共団体が講じる犯罪対策のあり方を研究するのが、刑事政策学の分野です。罪を犯した人への対処の仕方を論じることにとどまらず、犯罪の原因を探究し、未然に防ぐための方策を考えることも重要なテーマです。児童虐待を例にとると、虐待を防ぐために地域社会は日常的にどう支援ができるのか、虐待が疑われる場合に児童相談所は警察と連携してどう生命を守るのか、さらに、虐待被害を受けた子どもを児童福祉の仕組みの中でどう支援するのかなど、取り扱う課題は多岐にわたります。また、社会福祉や地域づくりなど、ほかの専門領域とのつながりを持つことも特徴です。社会課題の多くがそうであるように、犯罪対策のあり方に正解はありません。重要なことは、現状の課題を把握し、それに対する改善策を計画・実行し、検証結果を踏まえてさらなる工夫や改善を図る、この一連の流れを繰り返すこと。こうした政策学的思考を培ってほしいと考えます。社会の共通ルールである「法」を学ぶことを通して、広く社会の仕組みについて理解を深められることが法学部の面白さです。トラブルや紛争に直面した際に、関係者の意見を聞き取った上で、事実をルールや規範に当て はめ、妥当な結論を導き出す。この公平・公正な視点と課題解決能力は、日常生活や仕事の場面でも強みになるでしょう。卒業生が各分野の一線で活躍していることも早稲田の法学部の良さであり、学びや人脈を通して刺激を受けるなかで、将来の選択肢は想像以上に広がるはずです。主専攻法学演習(刑事法)EFrom Professorゼミ紹介継続して改善を図る政策学的思考で犯罪対策のより良いあり方を探る共同研究の結果を都庁で発表する機会も基本の流れとして、春学期は一つの研究テーマをゼミ生全員で多角的に検討する共同研究に取り組み、秋学期の個別研究へと進みます。いずれの研究もゼミ生自らの問題意識や関心に基づいてテーマを設定します。過去の共同研究の例として「中高生を性犯罪から守るためのSNS犯罪対策」「多文化共生を目指した安全・安心な街づくり」「首都直下地震に備えた防犯・防災」などがありました。研究を進める過程では実際に「現場」に赴いて理解を深めることも重要になるため、犯罪や非行に関係する機関や施設を訪問するフィールドワークも行っています。また、都庁での共同研究の発表や「早稲田矯正保護展」への参加など、学内外の関係者の前で研究結果を発表する機会があることも本ゼミの特色です。Message

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