今は興味の“種”を探す時期 早稲田で大きく咲かせてほしい42カーボンニュートラルや低炭素社会といったキーワードの下、再生可能エネルギーの活用が進んでいます。これまで電気を使うだけだった家庭でも、太陽光発電によって電気を作れるようになりました。しかし、再生可能エネルギーは天候によって発電量が変化するため、電力の安定供給、品質維持のため、電気の流れをコントロールする仕組みが必要になります。その仕組みの一つが「スマートグリッド」です。「グリッド」とは、みなさんの家に電気を送る電力ネットワークのこと。それを賢く使うのが「スマートグリッド」で、各家庭に設置された「スマートメーター」から収集されるデータを活用しています。スマートメーターは家庭の電気使用量を30分ごとに自動計測しており、東京電力エリアでは約3000万件、全国では約8000万件のデータが集まります。このデータをもとに、電気を「いつ、どのくらい作るのか」「どのように使うのか」を計算し、再生可能エネルギーで作られた電力を最大限活用してカーボンニュートラルを実現する仕組みづくりを進めています。私が目指すのは、最先端の技術でCO2を排出しないエネルギーが使える社会 システムを作ることです。ですが、いくら優れた技術でCO2が削減できても、 コストがかかり過ぎては意味がありません。人類の未来に優しく、また安い コストで電気が使える仕組みを作りたいと思っています。そのために私の研究室では、集めたデータを活用して電気を賢く使う仕組みを作り、それによりどれだけCO2を削減できるかをシミュレーションしています。また、そうした仕組みを社会に実装する取り組みを、電力会社などと共同で進めています。研究では電力会社などから実際のデータを提供してもらうため、規模が大きく、社会への貢献を実感できるのが面白いところです。ただ、電気や情報は、目には見えません。そのため、どれだけCO2を 削減できるか、暮らしがどう変わるのかなど、見える化して社会に示し、その価値に気づいてもらうことも重要な役割だと考えています。大学は、こうした社会課題を解決するための研究をする場です。高校までは基礎的な知識を得る勉強が主で、「何のために勉強するのだろう」と思ったこともあるかもしれませんが、今は興味の“種”を探す時期。その花を咲かせる場が大学ではないかと思います。大学では、必ず新しい出会いがあります。見たこと もない“種”が見つかるかもしれません。自分自身を深く知り、ぜひ早稲田で 興味の種を大きく咲かせてほしいと思います。INTERVIEWMESSAGEスマートグリッドでカーボンニュートラルに貢献するクリーンなエネルギーを低コストで使える社会を作る
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