164【スポーツ科学部】 ゼミ紹介 健康スポーツの栄養生化学スポーツに関する研究というと、身体の動きや競技の技術など、目で見て観察できるものがまず思い浮かぶはずです。一方で、表からは見えない人体の内部も、運動やトレーニングによってダイナミックに変化します。臓器・器官の構造や機能において、さらに、それらを構成する細胞内の物質レベルにおいて、運動はどのような影響や変化をもたらすのか。これを明らかにしていくのが私の専門である運動生理・生化学の分野です。仕組みを知ることで、より効果的なトレーニングや健康増進のヒントを得ることができます。また、「健康づくりのためになぜ運動が大切なのか」について、より説得力を持って説明する材料にもなるでしょう。目では直接的に観察できない人体内部が研究対象のため、最初はハードルが高く感じられるかもしれません。しかし学びを進めるほどに、体内の見えない部分での変化が、最終的に目に見えるスポーツのパフォーマンスや健康状態につながっていることが理解でき、面白さが増す分野だと思います。早稲田のスポーツ科学部には、スポーツをする人だけでなく、自身は競技経験がないけれどスポーツが好きな人、あるいはスポーツを支えることに関心がある人など、多様な学生が全国から集まっています。スポーツに対して異なる視点や価値観を持つ学生がともに学ぶからこそ、意見が偏ることなく、議論を豊かに発展させることができます。人それぞれに違うスポーツ観に触れて自身の考え方の幅を広げながら、スポーツのあり方やこれからについて思索を深めていけることが、スポーツ科学部の最大の魅力といえます。演習Ⅰ~Ⅳ(健康スポーツの栄養・生化学)From Professorゼミ紹介運動がもたらす目には見えない人体内部での変化を解き明かす運動・食事が身体に及ぼす影響や、個人差を研究身体活動や食事などの生活習慣が健康に及ぼす影響や、そのメカニズム、さらにそれらの個人差が生じる理由などについて、栄養学、運動生理・生化学、遺伝学などの視点から学び研究します。学生に勧めているのは、日常の食に関する疑問や、身体活動・運動に関する興味など、身の回りから題材を見つけて研究テーマにつなげることです。また、最も身近な実験材料は自分自身であることから、自らを対象として身体活動・食事・睡眠などの調査を行い、データ収集の方法を体験的に学ぶことも重視しています。研究を進める上では、仮説とまったく異なる結果が出ることもよくあります。予想外の結果を残念がるのではなく、むしろ好機と捉え、より深く考察する足掛かりにしてほしいと思います。Message
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