146【先進理工学部】 ゼミ紹介 脳科学と一口にいっても多様な分野があり、脳による認知の仕組みを追究する心理学や精神医学、脳の各部分の働きを解き明かすシステム脳科学も脳科学の研究領域です。私たちの研究室では、さらに下の階層である分子・細胞 レベルの研究を専門とし、脳を構成する神経細胞の機能や内部での分子 の働きを調べています。これら脳科学の研究者たちの目標は、「脳の機能を説明したい」という1点に集約されるでしょう。数ある臓器の中で、脳だけはいまだ未解明なことだらけです。近年は、計測・解析の技術や機器の目覚ましい進歩により、生きた動物の脳の中を直接観察したり、万単位の数の神経細胞の動きを同時に計測したり することも可能となり、脳科学は飛躍的に進展しています。今後、脳の機能が 解き明かされていくことで、そのアルゴリズムを活用したさらに高度な人工知能(AI)の開発も加速すると考えられます。その意味で脳科学は、これからの人類社会の行方をも左右する、挑みがいのある分野だと思います。早稲田大学は約130年前、国内の私大で初めて理と工が一体となった学部 を創設しました。先進理工学部 生命医科学科では、生命科学の系統立った知識や基礎医学を修得しながら、理学・工学の両方の知識とセンスを磨くこと ができます。この環境を活用し、専門分野を究めると同時にぜひ他の分野や 世界の潮流にも理解を深めてください。この先、生命科学全般において情報科学のさらなる活用や、実験的研究と理論的研究の融合など、従来の枠を超えた研究者同士の連携がますます重要になるでしょう。そうした動きをリード する人材として脳科学の発展に貢献してほしいと期待しています。井上研究室(神経生理学)From Professorラボ紹介最先端の計測・解析機器を駆使し脳の機能の全体像解明を目指す実験を重ねてデータを蓄積することが重要脳の機能の解明を目指そうとするとき、頭であれこれ考えていても答えは見つからないことがほとんどです。自分で手を動かし、実験を根気強く重ねて、新しい発見やデータの蓄積を図ることが何より重要で、それなしでは一歩も先に進むことはできない分野なのです。そのため私の研究室では、学生は論文講読などを通して専門知識を身につけることと並行して、最初の半年余りをかけて、細胞培養の手順や動物手術、高機能な顕微鏡の扱い方といった実験スキルをまずはしっかりと身につけます。その上で、卒業研究や修士課程の研究へと進んでいきます。研究室がある早稲田大学 先端生命医科学センター(TWIns)には、生体組織の深部を観察できる二光子顕微鏡などの設備がそろい、先端研究に打ち込める環境が整っています。Message
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