4専門職大学院としてのビジネススクールは、経営学を教える学部、大学院とはいろいろな点で大きな違いがあります。ビジネススクールにも経営学の理論的研究や企業経営の実情に対する知的好奇心を満たすために学んでいる人はいるでしょうが、主たるターゲットは、社会人としてより高いレベルのキャリアを目指したい、進むべき道を変えたいと考えている人です。現在勤務している企業で昇進し、より挑戦的な仕事をしたい、経営に携わりたいというだけでなく、転職、起業、事業承継など、変化の道は多様です。 かかわる組織も、営利企業に限らず、非営利組織、公的機関などさまざまでしょう。そのような考えを持つ学生に早稲田大学ビジネススクール(WBS)はキャリアアップ、キャリアチェンジに必要な知識、能力を修得していただき、変化を後押ししたいと考えています。このように強く動機づけられた人が学んでいるため、ビジネス スクールでは受け身の授業はあり得ません。授業の多くは、ケースメソッドなど、参加者が中心となって作り上げる形態をとっています。すなわち、学生が相互に、あるいは教員とのディスカッションを通じて、自分の意見をぶつけ、相手の意見を吸収し、新たな視点、 考え方を作り出していく、きわめてダイナミックな学習なのです。もちろんOJTや社内研修でも、さまざまな知識を身につけることはできます。しかし、キャリアアップ、キャリアチェンジを行うためには、それでは不十分です。転職するのであれば、これまで蓄積してきた知識が適用できなくなるのは明らかです。トップマネジメントになれば、他の組織構成員とは異なる次元の視点が必要となるでしょうし、現在の職務に特有なスキルとは異なる能力が必要 となります。月並みな言い方ですが、今日の社会は急速な変化に直面しています。新しい技術が次々と現れ、市場が変質し、社会がグローバル化するなか、これまでの経験が役に立たない問題が山積しています。経験したことのない問題に取り組むためには、組織、業界、地域に特有なローカル知識ではなく、グローバル・ スタンダードである経営知識が役に立ちます。さらに現在、新型コロナウィルス感染症の拡大で我々の生活は一変しました。この混乱が収まったとしても、以前の日常に戻ることはなく、ニュー・ノーマルのビジネス、働き方を模索しなければなりません。そのためには、問題の本質を見極め、解を生み出し、それを実行していく問題解決能力、実践的なスキルが不可欠であり、その意味で、ビジネススクールはますます重要な役割を果たしていくと考えています。しかしながら、欧米あるいはアジアの諸外国におけるビジネススクールと比べると、まだまだ日本のビジネススクールやその市場は発展途上だと言わざるを得ません。それは日本企業の労働環境、人事制度が諸外国のそれとは異なり、MBA取得者が十分に評価されていないからだと考えられます。MBA取得者の評価を高め、市場を拡大し、ビジネススクールを一層発展させるために、われわれは優秀な卒業生を輩出し、社会 的評価を高めていかなければなりません。ビジネススクールの市場を拡大するためには、WBSだけでなく、すべてのビジネススクーWBS creates a dynamic learning community for all stakeholders as a catalyst for developing insightful and responsible global leaders with actionable management knowledge.Mission & Dean's Messageビジネススクールは人生を変える
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