法学研究科 (日本語)
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1OSAKI YASUHIRO早稲田大学大学院法学研究科は、研究者の養成と高度専門職業人の養成を目指す高等教育機関です。日本でも有数の優れた研究・教育能力を誇る教授陣が、多彩な少人数クラスでの授業を展開する一方、各学生の問題関心・専攻分野に合わせて、指導教員が個別にきめ細かな論文指導を行っています。研究者養成に関しては、修士課程2年および博士課程3年の合計5年間の教育課程に、民事法学・公法学・基礎法学(基礎法学は修士課程のみ)という3つの専攻を設け、修士課程修了者に対して修士学位、博士課程修了者に対して博士学位を授与しています。法学研究科では修士課程と博士課程を一貫して捉え、5年間(原則)で博士学位を取得できるよう、コースワーク制を敷いています(MD一貫制)。博士課程進学者の大多数は、論文などの研究業績によって審査を受け、国内外の大学の教員としてのポストを得ています。早稲田大学法学研究科出身の研究者の数は、国内でトップクラスを誇っており、学界をリードする研究者を多数輩出しています。早稲田大学の法学系大学院として、裁判官・検察官・弁護士といった実務法曹志望者が進学する法科大学院もあります。日本の法学を担う研究者養成は焦眉の課題なのですが、法科大学院を経て法曹資格を得たのちに改めて法学研究科博士後期課程に進学し、法学研究者となる例も生まれてきています。法学部、法学系大学院、比較法研究所で構成される早稲田大学法学学術院は、その特徴を活かした法学教育を実践し、研究者養成を行っています。法学研究で培った高度な法的思考力は、研究職以外の実社会でも大いに役立ちます。高度の法的専門能力を持った人材は、学界だけでなく、実務界からも強く求められているのです。生成AIなど高度IT社会の進展、人口減少社会、高学歴化社会が解決すべき課題となっている現在、文系の学生にありがちなジェネラリストではなく、大学院での研究を通じて付加価値を高めたスペシャリストに対する社会的需要はますます高まっていくと予想されます。実際、法学研究科でも、修士課程を修め、官界・経済界・国際機関等で活躍する優れた人材は多くおられます。法学部だけでなく、大学院で法学を学ぶ意味は決して小さくありません。早稲田大学法学研究科は、高度専門職業人の養成として、社会人に対するリカレント教育にも力を入れています。そのひとつとして、1994年以来、特定課題のもと独自のカリキュラムで構成される社会人コースを設けています。現在は、「環境問題と法」、「知的財産紛争と法」、「租税紛争と法」、「社会保障、社会福祉・成年後見の法と行政」、「国際海事問題の実務と法」という5つのテーマ(研究課題)のもと、専門性をさらに磨きたいという社会人のニーズに応えるための修士課程プログラムを設置しています。さらに、2018年度より既存の3専攻に加えて「先端法学専攻」を設置し、社会人などを対象としたLL.M.コース(1年制修士課程)を開講しました。このうち知的財産法LL.M.コースは、知的財産に関わる法について理論と実務の両輪から体系的かつ集中的に学ぶもので、官公庁や企業で働く方や弁護士などが入学しています。また現代アジア・リージョン法LL.M.コースは、国際社会が直面する広域アジアでの経済、環境、労働、海事などの諸問題に対する法知識を体系的かつ集中的に学ぶもので、世界各国から数多くの留学生が日本人学生とともに履修しています。現代アジア・リージョン法コースの特徴は、すべての授業が英語で行われるところにあり、現在または将来、国内外の国際機関・グローバル企業・官公庁などで働く高度専門職業人の養成を行っています。研究者志望の皆さん、高度専門職業人としての価値を高めたいと希望する皆さん。私たちは、皆さんが早稲田大学大学院法学研究科の門を叩かれることを願っています。大学院法学研究科長 学界・社会を牽引する学界・社会を牽引する法学研究者および法学研究者および高度専門職業人を養成高度専門職業人を養成尾崎 安央

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