博士後期課程堀 隼大さん172021年法政大学法学部を卒業後、早稲田大学法学研究科修士課程に進学。修士論文では間接的情報交換による共同行為規制を研究。2023年博士後期課程へ進学し、修士でのテーマを発展させ、アルゴリズムを介したハブ・アンド・スポークス型共同行為の問題にアプローチしている。民事法学専攻2023年4月入学法学部で法律を学ぶうちに、「そもそも法はなぜこのようになっているのか」「法の限界はどこにあるのか」といった背景の方により関心が高まり、こうした問いを追究したいと大学院進学を選びました。法学研究科では、専修科目の「国際法研究」だけでも複数の先生方による講義が開講されていて、各先生方の異なる考え方やアプローチに触れたことで、国際法というものの幅の広さや懐の深さを知ることができました。その上で、自分はどう考えるのか、その理由は何なのかを明確に説明することを求められる点が、学部までとの大きな違いだと感じます。さらに、博士後期課程での研究はもう一段進み、国際法の全体像や可能性といった哲学的ともいえる観点を提供しながら、より未知の課題を指摘するものです。その道のりは常に手探りで、困難を伴いますが、人類の知の蓄積である国際法という法的枠組みの研究に、自分が参加できることに何ものにも代えがたい喜びを覚えます。博士課程3年目の2023年に半年間、オランダのアムステルダム大学に留学し、国際法への考え方や研究スタンスにおける、日本との違いを目の当たりにしたことも貴重な経験になりました。それぞれの良いところを組み合わせ、オランダの「現実的な問題をどう解決するか」という視点を取り入れつつ、日本ならではの緻密な論理展開に努め、博士論文をまとめる考えです。将来的には国際法の専門家として、法に照らした現状の解説や議論の整理を通して、人々が国際社会をよりよく知るための手助けをできればと考えています。2019年早稲田大学法学部を卒業後、早稲田大学法学研究科修士課程に進学。公的資格無関係の原則をテーマに執筆した修士論文で、国際法学会主催「第8回小田滋賞」奨励賞を受賞。2021年に博士後期課程に進み、個人責任の理論と現実をテーマに研究を進めている。公法学専攻2021年4月入学学部3年次に履修した必修科目をきっかけに、経済法に関心を持ちました。それまで経済法に対して抱いていた無機質なイメージが覆され、経済の民主化の過程の中で経済法が導入されたことを知り、この分野を深く究めるために早稲田の法学研究科に進学しました。その時点で博士後期課程への進学を目標に据えていたことから、博士論文への発展性を考えた上で修士論文のテーマを選びました。昨今、カルテル等の共同行為の手口が巧妙化し、企業同士が直接的に連絡を取り合うことなくカルテルが形成される実態があり、大きな課題となっています。修士課程では、この問題についてEU競争法を対象に比較法研究に取り組みました。現在は博士後期課程で、今後より一層問題となるAI・アルゴリズムを介した共同行為に対する最も適切な法規制の在り方を研究しています。研究を進める過程では、今まで正しいと思っていたものが根本から揺らぐような場面もあります。それに対して自分なりの回答を導き出し、論理的に人に示すことが求められます。特に博士課程に進んでからは、国内だけでなく海外でも研究報告の機会をいただき、母国語でも容易ではない「人に伝える」ことを、外国語で行う難しさとやりがいを噛みしめています。修士、博士と経験を積む中で、自分の考えに固執するのではなく、他者の意見に耳を傾けて柔軟に考えることで、より豊かで実りある議論ができることを学びました。研究を通して間接的に消費者の利益の保護に寄与したいという思いが、原動力となっています。オランダ留学で得た視点も活かしオランダ留学で得た視点も活かし国際法の奥深い世界をさらに究めたい国際法の奥深い世界をさらに究めたい考え方に柔軟さをもつことで考え方に柔軟さをもつことでより豊かで実りある議論が実現より豊かで実りある議論が実現在学生在学生長澤 宏 さん
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