修士課程 :社会人入学 15早稲田大学社会科学部を卒業後、銀行に就職。その後、法律事務所 勤務を経て、行政書士事務所を開業し現在に至る。2022年早稲田 大学法学研究科修士課程民事法学専攻に入学。障害者の意思決定 支援をテーマに修士論文を執筆し、2024年3月修了。民事法学専攻2024年3月修了2000年上智大学法学部卒業。2006年に弁護士登録し、海事事件を専門とする法律事務所で多数の海事関係事案を担当。2016年より早稲田 大学法学研究科修士課程民事法学専攻で国際海事問題について研究に取り組み、2018年より、同研究科博士後期課程に進学、2023年3月博士学位取得。民事法学専攻2018年3月修了 法学研究科に入学したのは、弁護士として10年のキャリアを積んだ頃です。それまで実務を通して専門知識や経験を得てきましたが、事務所があまり扱わない分野もあり、自身の知識にも偏りが生じていることを感じていました。海事法を幅広くかつ体系的に学びたいと考え、社会人入学を選択しました。 印象に残っているのはゼミ形式の授業です。学術論文や裁判例を題材に参加者全員で議論をするのですが、多様な立場の社会人が集まっているため、本を読むだけでは得られない情報や知識、視点に触れることができました。論文の執筆では、関連する資料をしらみつぶしに読み込み、誰にとって有利・不利かではなく、自分が正しいと思うことを論証することが求められます。日々の弁護士業務で行う文献・判例の調査や準備書面の起案とは似て非なるもので、難しさと同時に面白さを実感しました。研究を続けるべく博士課程への進学を決断し、米国のマリタイムリーエンに関する研究で学位を取得しました。図書館の蔵書や電子資料の充実度も早稲田の研究環境の魅力です。 実務の現場において弁護士がしっかりとした訴訟追行を行うことによって海事法研究はより発展し、また、海事法研究が発展することによって日本の海事事件の裁判・仲裁は確実にレベルアップしていくと思います。博士の学位を取得しましたが、今後も弁護士業務と並行して研究を続け、日本の海事法研究の発展に貢献したいと考えています。行政書士としてこれまで家族法務の実務に長く携わる一方で、大学院で学びたいという思いをずっと胸に温めてきました。そんなとき手にとった菊池馨実先生のご著書「社会保障再考 〈地域〉で支える」の内容に引き込まれ、菊池先生のもとで社会保障法を学ぶことを志望し法学研究科の門を叩きました。いざ始まった大学院と仕事との両立生活は想像した以上にハードで、家庭も含めたバランスの取り方に最初は試行錯誤が続きました。どれも疎かにはしないと心に決め、そのときどきで優先順位を見極めて全力を尽くすことに努めました。何より、多忙さも苦にならないほど、大学院で学べる喜びは大きなものでした。修士論文では社会保障制度における障害者の意思決定支援をテーマに選択。仕事で公正証書遺言作成のサポートも手がけていることから、実務での経験も踏まえながら、公正証書遺言を例の一つに挙げて意思決定支援の制度化について分析と考察を進めました。執筆を進める中で、これまで疑問に感じていたことへの解が見つかったり、議論を通して自分が持ち合わせていなかった新しい視点を得ることができました。研究科での2年間は心が揺さぶられる経験の連続で、自分自身が大きく成長したことを実感しています。当初は、大学院での学びは「自分のため」と位置づけていました。しかし修了した現在は、自分のためだけではなく、どうすればこの学びを社会に還元できるかに関心が強く向いています。そして、若い世代に向けて社会保障の仕組みや法律を分かりやすく教える役割を果たしていきたい、という新たな目標も見いだしています。研究活動と実務の両面で研鑽を続け研究活動と実務の両面で研鑽を続け日本の海事法研究の発展に貢献したい日本の海事法研究の発展に貢献したい心を揺さぶられる濃密な2年間を経て心を揺さぶられる濃密な2年間を経て学びを社会へ還元することが目標に学びを社会へ還元することが目標に修了生修了生加藤 貴世 さん伊藤 洋平 さん
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