15修了生修了生修士論文のテーマを検討していた当時は、ウクライナ避難民の受け入れに関する報道が増えていた頃で、難民への日本語教育に関心を持つようになりました。そこで、ウクライナ避難民に対する支援や日本語教育についての調査研究をテーマに選択。研究を進めるなかで、日研の先生方だけでなく、 難民日本語教育の分野を開拓されてきた日研の修了生の方々ともつながりを持ち、助言をいいただけたことは大きな支えになりました。また、学内の学会で発表を行った際に、来場者の方から「避難民支援に関わる一人としてこの発表を見に来ました」と声を掛けていただき、非常にやりがいを感じるとともに、発信することの大切さも学びました。フランスの大学で日本語を教える今、学生たちが自分自身の本来の学習目的や目標を意識した上で、主体的に学べる環境を作ることを心がけています。私が授業を行っている教室内だけではなく、組織全体、さらにはその国や世界の日本語教育といった広い視野で課題や改善点を捉え、より良い日本語教育の実現に尽力していきたいと思います。印象に残る科目の一つが「言語コーパス論」です。研究で実際に用いる想定でコーパスの操作方法やデータの分析方法を実践的に学んだことで、自分の力にすることができたと感じます。修士論文では、日本語の文字種の使い分けについて、学習者が感じることや教育に求めることを調査しました。学部と違い大学院では、常に「何のために研究するのか」という意義を考えて取り組むことが求められます。それを周囲の人に納得してもらえるよう説明する大切さと難しさも痛感しました。また、学内の学会での活動も有意義な経験になりました。早稲田大学日本語学会では、文学や教育学など他の研究科の学生との交流の機会も多く、「日本語」を共通点に、異なる立場からの意見や考えに触れて視野が広がりました。現在は東京書籍で「日本語検定」の問題作成などに携わっています。日研で培った日本語教育の専門性に加えて、日本語をさまざまな視点から多角的に「見る」力や習慣が仕事に活きています。日本語の学びに対するニーズがますます深化、多様化していくなかで、それに応える商品やサービスを提供することで社会に貢献していきたいと考えています。修士課程修士課程フランスをはじめ世界におけるより良い日本語教育の実現に向けて尽力したい大学在学中、外国人が多く住む団地で開かれている地域の日本語教室でボランティアを経験し、それを機に日本語教師養成講座の受講を始めました。受講するうちに、講座の内容と現場の日本語教育との間に乖離があることに気づき、こうした問題をより深く考えたいと日研への進学を決めました。研究活動を通して培った日本語を多角的に「見る」力が教科書出版会社で働く今の礎に学部では日本語学を専攻する傍ら、副専攻で日本語教育学を学びました。その過程で、学部での学びや研究を日本語教育学の分野でさらに発展させることができるのではないかと考えるようになり、日研への進学を選びました。小泉 秋乃2024年3月修士課程修了明治学院大学社会学部に在学中、日本語教育に関心を持ち日本語教師養成講座を受講。2022年に卒業後、当研究科修士課程に進学。ウクライナからの避難民に向けた日本語教育をテーマに調査研究に取り組み、修士論文を執筆。修了後の現在はフランスのボルドーモンテーニュ大学で日本語の授業を担当している。側島 大明2024年3月修士課程修了早稲田大学文学部で日本語学を専攻し、副専攻として日本語教育学を履修。2022年に卒業後、当研究科修士課程に進学。日本語教育におけるひらがな・カタカナ・漢字の使い分けをテーマに調査研究に取り組み、修士論文を執筆。修了後の現在は東京書籍株式会社に勤務し、「日本語検定」に関わる業務に従事している。
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