11 また、当研究科では、海外の協定大学において約1学期間、日本語教育のさまざまな実践経験を積める科目「日本語教育実践研究(17)」も準備されています。[海外実践協定大学(2024年度時点):タマサート大学、コンケン大学(タイ)、ミュンヘン大学(ドイツ)、ベオグラード大学(セルビア)、カーロリ・ガーシュパール・カルビン派大学(ハンガリー)]修士課程学習者だけでなく教師も気づいて学び、成長するハン スミン (2024年4月入学) 学びはいつも気づきから始まります。「日本語教育実践研究(19)」は、早稲田大学日本語教育研究センター(CJL)設置科目である「気づいて学ぶやりとりの日本語」を実践クラスとし、日研生が現場に直接参加しながら授業を作り上げていく科目です。 自分が担当する回において、学習目標の設定はもちろん、教案・教材の作成まで、全てを自分の手でやっていくことは、大変かもしれません。しかし、そうやって授業を練っていく中で、学習者目線で考える力が育まれたと感じます。 また、みんなで一つの教室を作り上げていく経験から、日研生同士での連携や学習者との意思疎通の大事さを学ぶことができましたし、他の日研生が担当する授業から、日本語教育における新しい視点や現場で活かせる授業スキルを得ることもできました。実践科目は真剣に参加すればするほど沢山のことが学べると自信を持って言えます。海外の日本語教育現場でつながる、見つめ直す松隈 杏梨 (2022年4月入学) 「日本語教育実践研究(17)」では、海外の協定大学等の日本語教育機関で授業参加や実習などの様々な活動を行います。派遣先のハンガリーは周辺の国や地域への移動が容易で活発なこともあり、複言語・複文化を感じられる場所です。授業参加や実習を通じて日本語教師、学習者との対話を重ねることで、日本語教育を様々な視点から多角的に観察し、自己や他者の価値観、文化、習慣を見つめなおす機会が豊富にありました。 また実際に生活しながら実践をするので、コミュニティの一員としての役割も意識できたと感じています。 現地で出会った日本語教育の関係者とは、帰国後も協力して実践を続けるなど、現在も続く大切なつながりができました。待遇コミュニケーションでより良い人間関係を築くグェン ドゥック アイン (2023年4月入学) 「日本語教育実践研究(2)」では、「待遇コミュニケーション教育/学習」を実際の教育活動を通して学びます。 この授業では、学部生向けの「敬語コミュニケーション論」クラスを実習の場とし、受講生が敬語表現や敬意・待遇に関するコミュニケーション能力を高めるための教育/学習方法を実践的に研究します。また、教案の作成、教材の開発、教育/学習の方法論についても検討します。 私はこの実践研究に参加し、約100名の学生に講義を行う貴重な経験を得ました。自身の「敬語コミュニケーション」への理解を深め、待遇コミュニケーションが人間関係の構築にいかに役立つかについて多くの示唆を 得ました。さらに、言葉が人間関係を築くうえでどれほど重要で、どのように活用すれば良い印象と円滑なコミュニケーションを生むかについても理解が深まりました。 今回の実践を通して、受講生も履修生もそれぞれの日本語能力を向上させ、適切な待遇表現の意義について自分なりの答えを見つけられるよう、支援できたのではないかと実感しました。「日本語教育実践研究」科目とは?学内外の多様な現場における教育実践 修士課程では「日本語教育実践研究」科目を9単位(3単位×3科目)以上履修することが必須となっています。「日本語教育実践研究」科目は、毎学期、当研究科の全専任教員が開講しており、その現場は学内の日本語教育研究センターの日本語授業をはじめ、地域に開かれた日本語教室、Webなどを利用した遠隔授業など多様です。
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