19在学生修了生いざ現場に出てみると、自分がそれまで修士の研究で考えていたこととはかけ離れた教育実践をしてしまったり、自身とは大きく異なる言語観を持つ実践者たちに出会ったりと、 次々に疑問に直面しました。それらの疑問に向き合うには 専門家としてのさらなる研鑽が必要だと感じ、博士後期課程への入学を決意しました。日本語教育学に特化した大学院だからこそ、教育現場で働きながら学ぶ院生へのサポート体制が極めて充実していることも、日研の魅力だと実感します。博士論文の執筆に取り組む今、現場で抱いていた漠然とした感想や主観が、ゼミでの議論などを通して整理され、問題意識として洗練されていく過程に面白さを感じます。自身が受け持つ教室や所属機関の枠を越え、タイの日本語教育界や、さらには日本語教育界全体に何か貢献できるような研究成果にしたい。その思いがモチベーションになっています。目指すのは、日本語教育全体を見渡す視野とリサーチ・マインドを持った日本語教師です。その目標に向け、研究テーマと真摯に向き合い、研究科の仲間と議論を重ねながら、日本語教育について領域横断的に学んでいきたいと考えています。博士課程博士課程日本語教育の現場で働きながら研究に取り組む院生への充実したサポート体制も支えに大学を卒業後、将来的に日本語教育に携わりたいと考えて日研に進学しました。修士課程在学中は海外実践科目も履修し、タイで日本語教育の実習を経験。それがきっかけとなり、修士修了後はタイで日本語講師として働き始めました。各種の補助制度も活用し博士課程1年目から積極的に海外の国際学会で発表を経験上海の大学を卒業後、社会人として働いていましたが、 日本語教師になる夢を叶えるために日本への留学を決意しました。当初は日本語学を学べる大学院を検討していたのですが、日本語そのものに加えて、日本語を介して他人とつながることにも関心があったため、日本語教育を専門とする日研を選びました。修士の2年間を通して、次世代を担う日本語教育人材の育成の重要性に気付き、目指す夢が「日本語教師」から「日本語教育を専門とする大学教員」へと具体的になりま した。その目標の実現に向けて博士後期課程へ進みました。博士論文では、学習者の母語を日本語教育に積極的に活用する方法を探究し、その成果として教育現場で使える教授法を確立できたことにやりがいを感じました。研究を進める上で日研の各種補助制度はとても有用で、私も海外出張の補助金を活用し、博士課程1年目から国際学会で発表の経験を積むことができました。また、日研が年2回発行する学術雑誌『早稲田日本語教育学』(紀要)は、広く日本語教育の関係者に参照されている雑誌です。日研のサイトで閲覧できますので、日研への入学を検討している方も一読をお勧めします。現在は東京大学の工学系研究科の特任助教として、大学院レベルの留学生などに日本語を教えています。今後も「実践と理論の往還」を意識し、積極的に研究活動を行うとともに、成果を日々の教育実践に活かしていきたいと考えます。千石 昂2023年4月博士後期課程入学2016年早稲田大学文化構想学部を卒業後、当研究科修士課程に進学。2018年に修了し、タイ・タマサート大学に日本語講師として赴任。日本語教育研究をさらに深めるために2023年4月当研究科博士後期課程に入学。日本語講師として勤務を 続けながら博士論文の執筆に取り組んでいる。劉 羅麟2023年2月博士学位取得中国四川省出身。2011年上海外国語大学西洋言語学部卒業。企業に勤務した後、2015年に留学生として当研究科に入学し、修士課程を経て博士後期課程に進学。研究活動と並行して日研の助手、助教を務める。助手任期中の2023年2月に博士学位を取得。同年9月まで助教を務めた後、同11月より東京大学に勤務。
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