日本語教育研究科 (日本語)
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15修了生修了生マレーシアでは従来、日本語教育は主として政府主導で マレー系の国民を対象に行われてきました。修士論文では、 そうした政策の対象外となる、マレーシアの大学で日本語を専攻した学習者に着目し、卒業生のライフストーリー調査に取り組みました。研究を進める過程で気付いたのは、研究すればするほど、さらに研究しなければならないことが見えてくるという事実です。新しいアイデアが降りてきたときの喜びと、計画通りに進まないときの辛さの両方を経験し、絶えず考え続けることが研究活動には不可欠なのだと学びました。2年間を通して、目標としていた専門性や日本語能力の向上を果たせただけでなく、コミュニケーション能力、適応力、ICTリテラシーなど、幅広いスキルが培われました。現在勤務するマレーシアの国立大学では、日本語の授業を週9コマ担当しているほか、研究発表も業務に含まれます。日本語教師として教壇に立ちながらマレーシアの日本語教育を研究し続け、日本語教育の普及や質の向上に貢献していきたいと思います。これから日研で学ぶ皆さんにとっても、日研での体験や人との出会いが、人生を豊かにする財産になると信じています。日本以外の国・地域における日本語教育がテーマの「日本語教育実践研究(16)」では、オンラインでブラジルやベトナム、ドイツなどの日本語学習者と交流しました。担当の福島先生は毎回の冒頭で、現地と日本の「今」の話題を大切にされていて、それにより交流会がグッと現実のものとなり、奥行きも増すことを実感しました。この学びは、大学で日本語教員を務める現在に活きていて、教室では初めに最近の気候や状況について学生と話をしてから授業に進むようにしています。 また、日研で受講した音声研究や教材研究などの専門的な 科目も、実際に日本語指導をする際に役立っています。日研には、日本語教師として世界のいろいろな場所で、またいろいろな学習者を相手に日本語を教えている人が集まって います。日本語学校での日本語教育しか知らなかった私にとって、毎日が刺激に満ちた環境でした。自分では思いもしなかったような問題をテーマに据えて探究している人もいて、自身の世界の狭さに気付き視野を広げる機会にもなります。 関心のある方はぜひ一歩を踏み出してほしいと思います。修士課程修士課程教員として、研究者として、マレーシアにおける日本語教育の普及や質の向上に貢献したいマレーシアの大学を卒業後、国際交流基金に日本語教師として勤務するなかで、日本語教育の専門性と日本語能力が 自身に不足していることを痛感しました。両方の向上を目指し、日本に留学して当研究科で学ぶことを選びました。日研の授業を通して培った専門知識や実践の経験は大学で日本語を教える今の礎に大学卒業後、日本語学校で日本語教師として勤務していました。コロナの影響で留学生が来日できなくなったタイミングで、かねてから考えていた大学院進学を決意しました。日本語教育を専門的に学べることに加え、入学後に講義を受けて から研究室を選択できることも、日研を選んだ理由です。チュア トゥンアー2023年3月修士課程修了マレーシア出身。2018年マレーシア・マラヤ大学言語学部日本語学科を卒業後、 国際交流基金クアラルンプールに日本語教師として入職。日本語教育の専門性の向上を目指し、2021年当研究科修士課程に進学。2023年3月に修了し、同8月よりマレーシア最大の国立大学であるマラ工科大学で日本語を教えている。保井 麻友2023年3月修士課程修了2019年関西大学文学部卒業。学部では英米文化を専攻し、副専攻として日本語教育を学ぶ。日本語教師を経て、2021年に当研究科修士課程に入学。「日本語使用のないキャリアに身を置く元交換留学生にとっての日本留学の意味」をテーマに修士論文を執筆。修了後の現在は相愛大学(大阪)で日本語教員を務めている。

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