11は、海外の協定大学において約1学期間、日本語教育のさまざまな実践経験を積める派遣プログラムも準備されています。[海外実践協定大学(2023年度時点):タマサート大学、コンケン大学(タイ)、 ミュンヘン大学(ドイツ)、ベオグラード大学(セルビア)、カーロリ・ガーシュパール・ カルビン派大学(ハンガリー)]修士課程協働で創られる地域日本語教室「にほんご・わせだの森」ファム トュアンチン (2022年4月入学) 「日本語教育実践研究(1)」は、「にほんご・わせだの森」という地域日本語教室をフィールドとし、日本語教育の意味と実践方法について体験的に学ぶことができる実践科目です。 まず、受講生同士で、「自分が創りたい教室」を語り合い、日本語教室という場の意味を共に考えます。次に、それに基づいて、具体的な運営方針や、実施方法を仲間と一緒に決定し、実践を行います。そして、実践した結果について振り返りを行い、次の実践を改善します。 私は、このような対話的で協働的な学びのプロセスによって、自分の考える「日本語教育」を具現化する力を 伸ばすことができました。また、試行錯誤しながら、仲間とともに「にほん・わせだの森」を創り、その楽しさを味わう貴重な経験でした。多様性と変化に対応する日本語教育を模索する櫻庭 律子 (2023年4月入学) 「日本語教育実践研究(12)」では、「持続可能性」と「ITスキル」の二つのキーワードから、海外協定校との交流を実施し、また反転授業のノウハウを学びます。 交流では、協定校の日本語科に所属する大学院生と打ち合わせを重ね、日本語教育に関して長期的に意見交換ができる場をつくっていきます。交流を通して、それぞれの学習観や教育観の違いを認識するだけでなく、言語教育政策の現状について理解を深めることができました。 反転授業の実践では、「社会文化」と「文法」の授業をデザインし、2本の動画を作成します。動画視聴後に対面で行う教室活動や授業全体の評価などを考えていく中で、特に学習者の積極的なやりとりを促すトピックや説明を考えることが大きな学びとなりました。SNSや生成AIにより、学習スタイルが変化していく中で、持続可能かつ新しい日本語教育のあり方を考える大切さを実感しました。国際的な日本語教育現場で「日本語を教えること」について考え直す周 晏清 (2023年9月入学) 学部生の時期に、日本語講師として中国の中学校や日本語補習塾で働いたことがあります。従来の講義型授業に疲れている学生の姿を見て、より体系的な教授スキルを習得し、学生たちも楽しめる面白いかつ効率的な授業を実践を通じて創出したく、日研への進学を決めました。 日研での授業は、研究を指導する演習科目、理論を教える理論科目、そして実際に教育現場に臨む実践科目と三つの柱からなっています。演習科目では、日研の教授陣から自分の研究計画を指導してもらったり、同級生同士の経験談に耳を傾け、お互い意見を交わしたりして、「自分にとって、研究とは何か」について改めて考えることができます。 「日本語教育実践研究(18)」では、私たちは「たまご先生」として、留学生向けのスピーチ・インタビュー・ディスカッションの授業を自らデザインして教えています。今まで体験した中国語を媒介語として日本語を教える現場と違い、様々な言語背景を持つ初級学習者を対象とするとき、どのようにしてわかりやすく授業内容を学生たちに届け、楽しませるか、私にとっては自分の日本語教育能力を鍛える場であり、今までの授業方法を問い直す機会でもあります。 日研での学習生活は決して楽とは言えませんが、とても充実した毎日を過ごしています。ここでの学びや経験はきっと、将来、各領域での活躍の礎になるでしょう。「日本語教育実践研究」科目とは?学内外の多様な現場における教育実践 修士課程では「日本語教育実践研究」科目を9単位(3単位×3科目)以上履修することが必須となっています。「日本語教育実践研究」科目は、毎学期、当研究科の全専任教員が開講しており、その現場は学内の日本語教育研究センターの日本語授業をはじめ、地域に開かれた日本語教室、都内教育委員会と連携した子どもたちへの日本語支援、Webなどを利用した遠隔授業など多様です。また、当研究科で
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