ssacamopDl li3rd yearDiploma classcomment45この学校に入学を決めたきっかけを振り返ると、やはり世界的な規模の感染症により社会や生活の変化を経験したことが大きかったと思います。コロナ禍は多くの人にとって何かしらの転機があったと思いますが、私にとっても自分の考えや関心ごとに大きく影響を与えた契機となりました。特に自分がいる場所、空間に対する意識に変化が芽生え、それらの輪郭を形作っている建築に自然と興味を持つようになり、これまで以上に家やオフィスから公共空間、さらには変わっていく街並みの断片からも、見えてくる風景をより繊細に感じるようになりました。それならば、この機会に時間をかけて、いまの自分の興味や関心を掘り下げてみたいと思い、行き着いたのがこの学校でした。仕事と両立しながら通える点や、建築と芸術を総合的に学べる環境に魅力を感じたことがこの学校を選択した理由です。芸術学校に足を踏み出してみて、純粋に学びに没頭できる時間はとても新鮮であり、貴重な時間だと日々感じています。クラスメイトの年齢層も幅が広く、多種多彩なバックグラウンドを持つ人から大きな刺激を受けられる環境であったこと、同年代で仕事をしながら学びの場に戻ってきた人が多かったことも心強い存在です。授業では段階的に建築の様々な分野への理解を深めることができ、特に三年のアセンブル特論では、建築を取り巻くさまざまな分野に触れる中で、自分自身の興味は深まり、新たな分野に対する関心も生まれるきっかけとなっています。また、設計課題のエスキースでは、学生それぞれの個性がアイデアや思考に表れ、先生方の様々な角度からのフィードバックを受けながら納得いくまで案を育てていく過程は、より深い洞察を得ることにつながっていると思います。それを踏まえ、授業後スタジオでこもる時間は、夜遅くまで悩みながら手を動かすことも日常ですが、それらは試行錯誤を通じた自分自身の成長につながっていることも実感しています。さらに、私にとってここでの人との出会いや交流の広がりも、建築への愛着を深める要素となりました。励まし合いながら頑張ってきた同期はこれからも特別な存在で、また、いつも熱心に向き合ってくれる先生方の支え、身近な立場から親身なアドバイスをくれるTA、そして事務の方々の丁寧なサポートによって、充実した学びが得られているというこの環境にとても感謝しています。建築都市設計科3年在籍國立台湾師範大学卒業小学生の頃、自宅を手掛けた大工さんの手仕事に感動して以来、大学入学時まで「建築家」を志していました。ふとした縁で専攻をコンピュータサイエンスに変え、その後ビジネスの世界へ。この20年ほどはベンチャーや事業創造のコンサルティングに携わっています。最近「まちづくり」や「地域材を活用した都市の木質化」など、建築に関りのあるプロジェクトが増え、建築家に憧れる気持ちが再燃し、意匠デザインに強みのある芸術学校への入学を決めました。私個人にとっての芸術学校の魅力を大きく3つ挙げます。① 「理論を伴った実践的な設計感覚」を磨くことができる殆どの先生方が、ご自分の設計事務所を持ち、研究もされつつ教壇に立たれ、エスキスでアドバイスをくださいます。これは私たちにとっては「体系だった理論」と「実践で考えるべきこと」、「オリジナルであることの大切さ」を同時に学べるということ。設計課題を解く際にも、常になぜそのカタチでなきゃいけないのか、周囲の環境との関係をどう考えているのか、即答が求められます。原理原則を踏まえつつ、自分ならではの実社会を動かすような設計を考えるよう、日々鍛えられています。② 文化教養を身に着けることの建築設計にとっての大切さに気付かされる理科系出身であることを言い訳に、これまで文科系の勉強を疎かにしてきた私にとって、世界や日本の歴史、文化の変遷を、建築や技術と結びつけながら学んでいくことは、様々な要素が面的に繋がっていくようで、驚くような発見があります。私の好きなアートの世界も、建築と隣り合わせ。そういった要素を建築設計に取り込むことの本質的な意味に、今更ながら気付かされています。③ クラスメイトが多様性に富んでいて、互いに刺激し合える私はクラス最年長。経験や常識にとらわれて、枠を超えたハッとする様な発想が湧かずに苦しむこともしばしば。クラスメイトはバックグラウンドも年齢層も本当に多様で、斬新な着眼点や発想を披露してくれるので、他に類を見ないような互いの学びと刺激の場になっています。自身のアウトプットに1年生の頃よりも何かしら変化、進化を感じるのは、クラスメイトからの刺激が少なからず影響しているように思います。仕事との両立は想定していた以上に厳しいです。特に設計課題の実習は、行動と思考と作業の度重なる繰り返し。常にタイムマネジメントに悩まされます。私のやり方は、「途上でもよいから、少しでも考え進化させたものを必ず期限内に提出し、何かしらアドバイスをいただく」ということを自分に課してきました。その結果、ハードルは期を重ねるごとに高くなっていきますが、それを超えるための力も徐々に育っているような気がしています。建築都市設計科3年在籍米国マサチューセッツ工科大学 技術&政策大学院修了事業創造コンサルティング会社経営寺門 美鈴TERAKADO Misuzu竹内 孝明TAKEUCHI Takaaki在校生の声
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