tnemmoC44「入学を決心するまで」「在学中の出産」についてお話させていただきます。入学を検討されている方の参考になれば幸いです。以前勤めていた家具インテリアメーカーで店舗レイアウトを担当していたときのことです。日本ではあまりないのですが、中国のショッピングモールはテナントの壁面に曲線が多用されており難しいレイアウトを強いられることがよくありました。そのうち、与えられたテナント範囲を超えて、建築物そのものの形が気になりはじめ、設計者の意図を知りたいと思うようになりました。これが建築に興味を持ったきっかけだったと思います。そういう建築への思いに気がつきつつも一方踏み出せないまま、転職をして住宅やインテリア関連サービスのインターネット販売促進をしたり、また長期休暇には国内外問わず建築旅行をしたりしていました。そんな中、コロナウイルスの流行を機に、やりたいことを後回しにするのは辞めようと決心がつき、退職して職業訓練校の建築CAD科へ入学を決めました。朝から晩まで建築に浸り充足した時間を過ごせたことで、ようやく建築への道に進みたいという気持ちに確信が持てました。ここまで約6年かかりました。 そしていざ4月の入学に向け入学試験を受けたのですが、当時私は妊娠中でした。妊娠中に夜間学校に通い、そして出産後も通い続けることはムリだと何人にも言われました。私自身も不安はなかったと言ったら嘘になりますが、迷いはありませんでした。実際に通い始めてから思ったことは、多様な先生・生徒が通う芸術学校だからこそ、人との違いはハンデにならないということです。Wスクールや仕事と両立されている方など忙しい方がほとんどです。皆がお互いの立場を理解し、助け合いながら勉強していますし、学校側も個別にサポートしてくれます。出産間際は約2か月間学校に通うことができなかったのですが、クラスメイトのフォローアップのおかげでなんとか乗り切ることができました。通学というのはオンラインと違い時間的身体的ハードルが上がりますが、助け合い切磋琢磨し合えるクラスメイトと出会えたことは想像以上のメリットがあると感じています。出産後の現在は家族の助けやベビーシッター・大学構内にある託児所などをフル活用しながら通学しています。目が回るような忙しさですが、これ以上ない充実した時間を過ごしています。2nd yearProfessional classcomment建築科2年在籍獨協大学外国語学部言語文化学科卒業家具インテリアメーカー~IT企業を経て学業専念中子供のころから父の仕事先の建築現場に連れていかれ自然と建築に触れていました。父は私に建築家になれと口癖のように言っていましたが、中学卒業と同時に高専の寮に入り卒業後は専門の機械エンジニアとして働いていたので次第に建築が遠くのものになっていきました。父が年をとり介護をしている際に私が建築に興味が出てきた事を話した時にとても喜んだのがきっかけになり少しずつ自分で勉強を始めたのですが、独学での勉強はなかなかうまくいきませんでした。そのような時に芸術学校のワークショップに参加して、学校や先生、授業の雰囲気が分かり本校へ入ろうと決意しました。詳細なカリキュラムや先生方の熱意と経験に裏付けられた指導方法を体験して、これなら経験も知識もない私でもついていけると感じたからです。近年さかんに生涯学習とかリカレント教育といわれますが、実際にはそれほど簡単ではないと思います。もちろん学ぶものやレベルにもよりますが…。現在62歳の私が一番気を付けていることは健康です。徹夜などの無理はもう体力がなくできなくなったので、コツコツと少しずつ毎日課題やレポートをこなすようにしています。瞬発力や馬力は若い時のようにはないのでマイペースでやるように心がけています。しかしながら、1年から2年になって授業や課題の密度が急に増しました。また、それと共に勉強の内容も全く異次元という程の難しさであり、特に考えて行う作業がほとんど全ての科目に必要になってきました。毎日のように課題やレポートが間に合わないのではと焦る反面、勉強を通して今まで気付かずに過ごしてしまった事の発見もたくさんあり、それが楽しくも感じられます。また芸術学校では多様な職業や年齢の学友が学んでおり、ダブルスクールや仕事の忙しさなどフラットな関係で様々なことについて話すこともできます。授業以外のそうした会話からも、もし自分がここで学んでいなかったら、今までの限られた自分の生活からは想像できないような建築のとらえ方や考え方などを知ることができなかったのではと有意義に感じます。「60の手習い」ということわざがありますが、入学に迷っていたらとにかく学校の門を叩いてみてください。そこには必ず今まで感じることのできなかった建築の世界が見えると思います。建築科2年在籍BBT大学大学院 経営学研究科 経営管理専攻修了機械メーカーにて技術営業職として勤務後 主夫寺島 慧美TERASHIMA Satomi上村 真次郎UEMURA ShinjiroCommentstudent
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